棋聖戦 第4局の感想 | 30代からの将棋日記

棋聖戦 第4局の感想

今回の対局を真剣に見ていて思ったことがあります。

佐藤棋聖は典型的な攻め将棋で、細い攻めをつなげて行くのが醍醐味なのですが、受けるべきところは受ける柔軟な一面もあると思っていました。

また、羽生-谷川戦の棋譜を並べていると、羽生四冠は局面によっては、利かされを全く意に介しない気風でもあると感じました。

しかし、この二人が対戦すると、何かが違います。
羽生四冠も、佐藤棋聖も、剛直に相手を正面から叩き伏せようとしているように感じるのです。

特にこの一局は、そのような一面が色濃く現れたように思うのです。

例えば図の局面。


【第1図】


佐藤棋聖は、この△3五桂打に手抜きで▲7四歩とするのです。
手抜いたことにより、数手進んだ局面では角の丸損です。
3五桂打は、一手受けておけば目標になる桂だけに、黙って成桂にさせたのはいかにも大きいと思うのですがどうでしょう?
受ける手を利かされと見たのでしょうか?
三段目のと金も大きいですが、角損はもっと大きいと感じます。この辺り、早く感想戦の記事を読みたいものです。


この後、後手陣右辺でと金を巡る攻防があり、お互いに飛車を取り合って第2図。


【第2図】


やや劣勢の佐藤棋聖は、不安定な後手陣の形を乱すために手筋の「焦点の歩」を放ちます。
同玉、同金、同桂、様々な手が見えるこの局面で、羽生四冠は15分の考慮時間を使い△6七歩!
この歩に手抜きです!


さすがの佐藤棋聖も驚いたのか、最後の考慮時間を投入します。
そして、この△6七歩打は羽生四冠の勝利を確定させた一手だと思います。

当然△3二歩成と進みますが、これにも手抜きで「読み切りました」のノータイムで▲6八歩成!には心底感嘆しました。C= (-。- )

この数手の応酬に、お互いの意地を感じます。
お互いに利かされを拒否し、斬り返す手を中心に指し手を選択していく。

明日、明後日の王位戦第2局も、意地のぶつかり合いを楽しみに観戦したいと思います。